幼児期にこそ、想像力を!|2019/10/12
今日は。神戸市東灘区はな音楽教室です。
この辺りは、台風の峠は越えつつある様子、雨が上がってきました。
皆様お住まいの所は、いかがでしょうか?
今日は、小学生のレッスンの中で感じたことを、お伝えしたいと思います。
このソルフェージュの本は、リトミック研究センターステップ5の生徒さんが
使うものです。音符の書き方、五線の場所、リズム、歌うこと。本当によく
網羅されたテキストです。ドレミ出版社から出ていますので、一般の方もお使いに
なれます。
この本には全部で16曲の童謡、唱歌が入っています。これをドレミで歌ったり、歌詞で
歌ったりします。どんな曲が載っているかというと、ちゅうりっぷ、こぎつね、とんぼのめがね
などです。
これらの曲は、日本で古くから伝わる曲ですが、どれも情景が見えるようで心が
ほっこりしませんか?
でも、最近の幼稚園、保育園の子ども達はこの16曲のうち、半分も知らずに小学校に
上がっています。中には、2曲くらいしか知らない子どもがいます。
先日、このテキストを使っている小学一年生の生徒に、「どんぐりころころ」を歌ってもらいました。
歌詞は、ピアノ楽譜の書いてある先生用の本を見せて、二番まで歌ってもらいました。
文字は読めますから、当然歌うことはできます。
二番の歌詞に「やっぱりお山が恋しいと」と出てきますね。「恋しい」というニュアンスを
わかってほしいと思い、このどんぐりころころを歌って絵を描くとしたら、どんな絵を
描くかと生徒に聞いてみました。
生徒からどんな言葉が返ってきても、私はいつもいいのよ!と生徒たちに言っています。
自分の思ったことを言葉にすることが大切だと思うからです。
湯水が沸くように話し出す子もいますが、この時の生徒は、何も浮かばないと言いました。
「どんぐりはどこにあるの?どじょうはどこにいるの?」と言う問いかけには的確に
答えるのですが、なぜ、歌詞の終わりが「泣いては どじょうを困らせた」のか・・・
頭の中が、????という顔をしていました。
年少さんくらいなら説明してあげたら、そうか!と納得するのですが、小学生で
すし、もっと自分の言葉で思ったことを発言できると思ったのですが、いろいろヒントを
出してみたり、「想像してみて~」などと誘導しても、結局、一言も感じたことを
言葉にすることはありませんでした。
今、幼児期に制作、造形、音楽・・・そういう芸術分野の取り組みが少なすぎると、
子ども達を見ていると感じます。生活が便利になり、手を使うことが少なくなりました。
人差し指一本でボタンを押すだけで、何もかもができる世の中。
はさみは危ないと、集団生活の中で使わずに育つ子ども達が多くなっています。
折り紙、あやとり、お手玉。そんなものは昔の遊びで、今はやらないよ・・・
そんな声があるかもしれませんが、昔の遊びの中に実はとても脳を活性化させ、
集中力を高め、想像力を掻き立てるものがあることは、事実だと私は思っています。
学校での学習に対して、答えを言えることだけを求めて、そのような教育ばかりになってしまい、
相手のことを考えて発言するとか、手助けするということがあまりにも少なくなってしまっている、
子ども達を見ているとそう、実感することが増えてきました。
もちろん、そんなに優しいの!!とその子どもを抱きしめたくなるようなことを言ってくれる
子どももいますよ。
神戸市の小学校教諭の同僚へのいじめ問題、神戸市民として情けない、恥ずかしい、何より
教え子がこの春から、神戸市小学校教諭になっています。大丈夫だろうか、辛い目に
あっていないだろうか、そんなことを考えてしまいます。
世の中全体にいじめが浸透している、大人社会も子ども社会も、どんな職場でも、
どんな集団でも・・・そんな気がします。イライラした大人を見て、子どもは育ちます。
暴言を吐く大人を見て、その暴言を聞いて子どもは育ちます。それが、レッスンの中で
子ども達から見えてきます。
もっと穏やかで、安心して居られる場所を子供達に、作ってあげてほしい。
一番は、やはり家庭ではないでしょうか?知識だけの学習だけではなく心を育てる教育、
そんなことを考えさせられた小学生のレッスンでした。
たくさん絵本を読み、思うままに絵を描いて、自然の中で遊ぶ。子ども達にそういう時間を与えて
あげてほしいと願います。
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